昨年11月11日(火曜日)午後7時半、国際玄制流空手道連盟武徳会・大泉道場にどよめきが起こった。 土佐邦彦会長宗家に「ぜひ指導を受けたい」とスベイン代表2名(共に世界王者獲得の経験有)&女子監督が訪れたのだ。 その模様をレポートしていこう。
土佐邦彦氏、裂帛の基本
では、早速レポートを開始しよう。
各自が準備体操を終えた後、まずは土佐邦彦氏(写真1参照)の気合いほとばしる下記の基本が30分間にわたって行われた(写真2参照)。
- 揚げ受け→突き
- 下段払い→突き
- 後屈立ち→手刀受け
- 後屈立ち→追い突き
- 金的蹴り
- 上・中段前蹴り
- 基立ちからの上段廻し蹴り
- 基立ちからの裏拳
- 基立ちからの肘打ち
- 基立ちからの肘打ち→裏拳
- 基立ちからのからの膝蹴り
- 基立ちからの膝蹴り→段廻し蹴り
- 後ろ蹴り→裏拳→逆突き(二人一組)
- 前蹴り→海老蹴り(二人一組)
- 四股立ちからの突き
その1 視覚を用いた練習
そして、スペイン代表の指導が始まった。今回訪れたメンバーは、次の4名(写真3参照)。
- ■木幡宏通氏
写真右から3番目。土佐氏の弟弟子。スペイン在住、45年にわたり玄制流を指導。
リーノ氏は門下生であり、オスカル&セサルは孫弟子にあたる。 - ■リーノ・ゴメス・フェイト
写真右から2番目。女子監督。 - ■オスカル・バスケス・マルティンス
写真右から4番目。70kg以下級2004WKF世界大会3位。 - ■セサル・カスターニョ・フェルナンデス
写真右から1番目。65kg以下級2006WKF世界王者。
世界大会直前ということで、限られた時間ではあったが、「日本の皆様と触れ合うことは私たちの喜び」と惜しげもなく、技や練習法を公開してくれた。
順を追って説明していこう。
まずは、3人組となる(写真4参照)。
真ん中に立った人間は動かず、中心となる。
そして、Aの動きをBが真似をする(写真5〜10参照)。
「鏡のように同じステップ、同じ分だけ動いて下さい。常に3人が一直線上になること。
これから行うトレーニングは、反射神経・動体視力・目と手の協調動作などを高めるトレーニングです」(リーノ)
その2 聴覚を用いた練習
次は、聴覚から入った号令に反応して動く練習を行う。
「はじめに1は順突き(写真11参照)、2は逆突き(写真12参照)、3は前足の蹴り(写真13参照)、4は後ろ足の蹴り(写真14参照)、5はスイッチ(写真15・16)と決めておく。
そして、指導者が数字を言いますので、耳に号令が飛び込んできたら、すぐに反応して下さい」(リーノ)
慣れてきたら「3・2(写真17〜19参照)」「3・4(写真20・21参照)」。さらに3つ以上の「3・5・4」「5・3・2」などと組み合わせて、動きを磨いていく。
「数字なので、連続した場合、慣れるまで反応が難しいと思いますが、頑張ってみて下さい。
熟練者は、上段・中段・廻し蹴り・裏廻し蹴りなどを意識的に使い分けて下さい」(オスカル)
その3 視覚&聴覚を用いた練習
その1と2のミックス。中心にいる動かない人物が、先程の“その2聴覚を用いた練習”で決めた号令をかける。
それに反応して、A・Bが動く&攻撃(写真22〜30は、3→2の例)。
「攻撃後はバランスを保ち、すぐさま一直線になるように(写真31参照)。パートナーよりも素早く反応すること、
瞬発力を意識して下さい」(セサル)
その4 触覚を用いた練習(1)
今度は触覚に反応した練習を行う。先ずは3つのルールを決める。
- 外から手を触られたら、前足の上段廻し蹴り(写真32〜35参照)。
- 内から手を触られたら、逆突き(写真36〜38参照)。
- 足払いされたら、後ろ廻し蹴り(写真39〜44参照)。
触る方は、フリーで触っていく。触られた方は、すぐさま反応する(高く蹴れない人は低くてもOK)。
「慣れてきたら、1回だけでなく、複数回触ってもらいましょう。
例えば、2→1(写真45・46参照)だと、中段逆突き→上段廻し蹴り(写真47〜49参照)。
2→1→3(写真50〜52参照)=中段逆突き→上段廻し蹴り→後ろ廻し蹴り(写真53〜58参照)といった具合です」(リーノ)
その5 触覚を用いた練習(2)
その4をさらに発展させる。
今度は触った方が相手の技に反応し、反撃を行う。
- 外から手を触ったら、逆突きのカウンター(写真59〜63参照)。
- 内から手を触ったら、斜めに捌きながら、スイッチして逆突き(写真64〜71参照)。
- 足払いをしたら、後ろ廻し蹴りに合わせて伏せ、水面蹴り(写真72〜77参照)。
「水面蹴りを行う時は、写真78の部分を用いて下さい。
もちろん、慣れてきたら、1〜3を連続&組み合わせて行って下さい(写真79〜91参照)」(本幡)
セミナー終了後、土佐氏は「我々とは反射神経・スピードに関して、非常に差があると感じた。
日常の訓練の相違ではないかと思う。今回のセミナーは得るものが多く、会員の間からも『参加できて良かった。
非常に参考になり、感謝している』と多くの意見が寄せられた。
また頭の切り替えによって、十分に対応できるし、戦えるだろうと感じることもできた。
スペインの皆様、本当にありがとうございました」と語った。
セミナーに参加した玄制流の皆さん。約50名が参加した。