沈黙の王者 松崎沢宣 VS 重戦車 土佐樹誉彦

土佐樹誉彦と松崎沢宣。2人は、土佐宅へ松崎が泊まることもあるという間柄だが、同時に重量級のライバルでもある。今回、その両雄が、国体を前に火花を散らす!?

土佐樹誉彦(とさ・きよひこ)
1977年3月9日生まれ。埼玉県出身。魚座。大阪経済法科大学卒。現在、玄制流武徳会総本部道場指導員として活動中。アジア大会をはじめ、数々の大会で好成績を残している「重戦車」。
松崎沢宣(まつざき・さわのり)
1978年3月27日生まれ。大阪府出身。牡羊座。2000年に全日本選手権大会個人組手で初優勝をして以来、01、02年と連覇達成。日本空手界「沈黙の王者」。

口もと軽やかヘビー級対談

▼まずは国体出場おめでとうございます。
土佐・松崎「ありがとうございます」
▼土佐選手は関東大会の時、足の具合が悪かったそうですが、今はどうですか?
土佐「8月の関東大会よりもずっと前から、右の膝と足首の状態が悪かったんですが、もう大丈夫です」
▼国体開幕直前。松崎選手は、体調管理で気を配っていることはありますか?
松崎「僕は月に1回は喉が痛くなって、熱が出るんですよ。で、今日も、昨夜クーラーをかけたまま寝てしまいまして、風邪気味なんです」
土佐「虚弱体質な人です」
▼土佐選手は、体調管理は万全ですか?
土佐「食べ過ぎに注意していますね。半年くらい前から食事の節制をしています。栄養面にも気を配っていますし、味付けも薄口ですよ」
松崎「えー、絶対うそ。それでどうやったらそんなに大きくなれるんですか!?」
土佐「いや、食事の節制は本当。今、体重は95?くらいです」
松崎「まあ、そうかも知れないですけど、前は110?以上ありましたよね」
土佐「あるかー! 最盛期でも103?くらいやったわ!」
▼…本当に仲がいいんですね。ナショナルチームの合宿や海外遠征の時は、行動をともにすることが多いんですか?
松崎「ホテルは同じ部屋に泊まります」
土佐「でも、飛行機の中では別々です。重量級が重なると、暑苦しくて(笑)」
▼海外の自由時間には、どんなことをしているんですか?
松崎「ご飯を食べに行きます。土佐先輩はすごく几帳面なタイプで、国内で下調べをしてくるので、心強いですよ」
土佐「下調べといっても、旅行ガイドブックの流し読みをする程度ですよ。とりあえず土産には何がいいか、食べ物は何がいいかとか…、そのくらいです」

お互いの印象

▼土佐選手と松崎選手は、公式戦で対戦したことがないんですね。
土佐「公式戦ではありませんが、9月のナショナルチームの岡山合宿の時、対戦しました。松崎選手は、プレッシャーのかけ方や駆け引きがうまいですね」
▼松崎選手は、土佐選手と組んでみてどんな印象を受けましたか?
松崎「でっかいな〜って感じですかね」
土佐「以上かよ!?」
▼松崎選手も体格に恵まれていますよね。
松崎「いや、僕、実はリーチが短いんです」
土佐「その割りには、よくカウンターでポイント取ってるよね」
松崎「う〜ん、それがねぇ、何でかわからないんですよ。僕にも」
土佐「それが全日本を獲る秘訣だな」

優勝を目指して

▼国体では周囲から注目され、全国の強豪からマークされることになると思いますが、プレッシャーには強い方ですか?
土佐「昔からあまり感じない方です」
松崎「僕は初戦から緊張するタイプですよ。でも、そういう時は楽しいことを考えるんです。試合が終わったら、どこへ行こうかな、とか。理想としては、試合のことに集中すべきなのかもしれませんが、僕の場合、それでは緊張してしまって駄目なんです」
▼試合前にアップはしない方ですか?
松崎「僕はほとんどしませんね。基本練習は軽めにして、後はイメージトレーニングなんですが、頭を使いすぎるとしんどくなるんですよ。ですから、試合前は軽めの基本とイメージトレーニング、その後に楽しいことを考えながら出番を待つ、という流れになります」
土佐「僕の場合、スロースターターだと昔からいわれていますので、アップをしないと駄目だという意識が強いんです。でも、やはりやりすぎると疲れますので、程々にしています。ただ、大会が何日かにまたがって行なわれる場合、次の日の対戦相手がわかっていれば、対策を練ってイメージトレーニングもします」
▼基本的には対戦相手を気にすることはないんですか?
土佐「そうですね。ただ、誰が相手でも遅かれ早かれ対戦しますので、どうせ強敵と当たるなら早い内がいいですね。しんどいことは早く終わらせたい。でも基本的には、優勝を目指して、一戦一戦やるだけです」
松崎「僕も同じで、優勝を目指して、一戦一戦やるだけです。土佐先輩と当たったら、勝てるようにやりますよ」
土佐「僕も負ける気は更々ありません」
▼では最後に、今回の国体で個人優勝以外に目標を掲げるとしたら、何ですか。
土佐「それはやっぱり、個人とともに団体制覇を狙います。埼玉県の団体メンバーは、相当いいメンバーが揃っていますので、充分優勝を狙えます」
松崎「うち(富山県)の団体も強いですよ。優勝しますので、任せてください」

▼本日はありがとうございました。