第五章 技術

では、基本的なことを学んだところで、実際の攻防に目を移そう。玄制流には他の空手に見られるような突き・蹴りがあることは言うまでもないが、ここでは玄制流にしか見られない技を土佐邦彦氏に選別してもらった。

1 卍蹴り
相手の刻み突きに対し、カウンターで左斜状蹴りを極める(写真19〜21)。すぐさま、足を素早く抜き、体勢が崩れ相手に対し、カカト蹴りでとどめを差す(写真22〜23)。「変・捻」が使われている。卍蹴りの名前の由来は、蹴りが連続することによる体の旋転をイメージとして卍蹴りと名付けられた。

2 回し蹴り→後ろ回し蹴り
体が前より相手の刻み突きに回し蹴りを合わせる(写真24〜25)。そしてそのまま足を抜き、後回し蹴りへと繋ぐ(写真26〜27)。「転」が使われている。

3 右足払い→左斜状蹴り
前の章で紹介した斜状蹴りをより効果的に使う例を教えてもらった。帆立て構えより、右足払いで相手の体制を崩し(写真28〜30)、左斜状蹴りで極める(写真31〜32)。比較的簡単で、組手でも使いやすい技だ。これは「変」を使っている。

4 伏状差し込み足
帆立て構えより、右足を引き寄せ、体を捻りながら伏せる(写真33〜34)。このとき、相手の左足に自分の左足をかけ、引き寄せる(写真35〜36)。相手の体勢が崩れたところに海老蹴りを叩き込む(写真37)。「転」が使われている。

5 旋体差し込み足
相手の左足外側に、右足を差し込みかける(写真38〜40)。このとき、気をつけなければならないことは、なるべく相手の視界から消えるように姿勢を低くすること。そのまま回転しながら、上体を起こし、両手で手刀(写真41〜42)。右足を引いて、相手を回転させたところに、とどめの双手掌底で突く。まさに下を崩してから、上体を攻める玄制流の理想的な姿だ(写真43〜44)。これは、初めてやられたら、相手は驚くこと間違いなしだ。「旋」が使われている。